救助に行った救助隊が訴えられて有罪、うむー

判決をニュースで見ただけなので、もしかしたら、全然知らない事実があるのかもしれませんが。
「3年前、北海道積丹町の山で遭難した男性が、警察の救助活動中に滑落して死亡し、遺族が、「救助方法が不適切だった」として北海道に損害賠償を求めていた裁判で、裁判所は遺族の訴えを認め、道におよそ1200万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。」だそうです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121119/k10013613681000.html

基本的には、積極的にサボっていたり、勤務中に飲んだくれてたりみたいなことがない限りは、現場で後追いでなにが合理的で何が合理的でなかったか、は今後の救助技術の向上のために使われたとしても、その場にいた人たちの非難に使うのは無理があると思うんですけどね。山ですから。しかも、要救助になった時点で状況は悪いことが多いはず。ある程度リスク覚悟でスピード優先させなきゃいけない、という判断もあったりするわけで。100%安全確保しなきゃ救助しちゃダメ、ってことになると、条件の悪いときには救助しない、って判断が増えるんじゃないかな。現場の人たちは人の命優先で活動してくださる方々なので、つまりはこんな判決出ちゃったら、合理的には条件悪いときには救助行くべきじゃないんだけど、人が死にかけてるのにほっとけるかよ、みたいなことが起こりそうで、なんとも切ないです。

このニュースに対し、裁判官が山のことわかってない、とか批判して切り捨てるのは簡単なんですが、我々この業界で生きている人間としては、やっぱり法律上も経済上もこの国の仕組みの中でやってかなきゃいけないので、そうすると今回の件で対処できるのは、全国の警察/救助隊や救助に携わる人たちに訴訟リスクをカバーする保険に入ってもらうとかになるんでしょうか。登山道具さえ事業仕訳で予算がなくなった遭対協にそんな予算つけるのが可能なんでしょうか。もう入ってたりするのかな。書いてて悲しくなってきました。命削って救助してくれる人たちの訴訟リスクを保険でカバーしようとかってなんか論理的には正しいけど、感情的には全然しっくりきません。

今回の話は救助隊だからなおさら切ないわけですが、我々みたいな救助がメインじゃない仕事の人間や一般登山者が救助せざるを得ない状況になって、救助方法が不適切だからって訴えられたりする可能性もあるってことになるんでしょうか。

と思って、「良きサマリア人の法」のwiki見てみたら、医療業界でも似たようなことが起こっているんですね。

「日本国内の医師に対して行われたあるアンケート調査[7]によると、「航空機の中で『お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか』というアナウンス(ドクターコール)を聞いたときに手を挙げるか?」という質問に対して、回答した医師全員が上記の緊急事務管理の規定と概念を知っていたにも関わらず、「手を挙げる」と答えたのは4割程度に留まり、過半数が「善きサマリア人の法」を新規立法することが必要だと答えたという。」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%96%84%E3%81%8D%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%B3%95

我関せずな人が正しくて、正直者が馬鹿を見る、みたいなことは山業界だけじゃなくあちこちで起こっちゃっている社会の縮図なのかな。

救助隊呼ぶ時点でもう自分じゃ降りてこられない(=放置されれば死んでしまう)わけで、そもそも山に来ちゃいけない人たちなんだけど、その人たちを止める方法も法律も今のところないので、難しいですね。控訴されてひっくり返って救助隊の方々が安心してお仕事されるようになることを祈っています。
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プロフィール

チョモランマの頂上でThinkPad

Author:山田 淳(やまだ・あつし)
株式会社フィールド&マウンテン代表取締役
「登山人口の増加」「安全登山の推進」がミッション。 登山道具の宅配レンタル 「やまどうぐレンタル屋」 新品・中古品販売 やまっ子

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