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誰が山岳事故を起こしているのか

毎年シーズン前後には、登山の事故に気を付けましょう、と統計とともにニュースが流れるわけですが、ニュースを見ていていつも疑問に思うことがあります。

それは、本当に事故は増えているのか、ということ。事故数だけの統計しかないので、登山者数が増えているから当然事故が増えている、という程度なのか、登山者数の増加以上に事故が増えているのか。

そして、あたかも当たり前のように言われている「中高年が増えたから登山事故が増えた」というもの。確かに中高年は若い人より体力的に劣るでしょうが、ムリをしたり不注意だったりということは中高年も若い人も同じ条件なのではないか、という疑問。

 

この前、図書館で写してきたレジャー白書の登山者数のデータと、警察庁の山岳事故数のデータがあるので検証してみようと思います。

 

データのソースは、

http://www.jpc-net.jp/leisure/ (レジャー白書)

http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki28/h20_sangakusounan.pdf (山岳遭難の概況)

です。

 

まずは登山者数。これは、以前の日経MJの記事でも書きましたが、あまり増えていません。

http://gohiking.blog9.fc2.com/blog-entry-67.html

登山人口の推移

                            (万人)

  H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20
登山人口 930 840 880 650 650 650 550 570 590

 

次は事故件数。

  H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20
事故(全国) 1215 1220 1348 1358 1321 1382 1417 1484 1631
遭難者数 1494 1470 1631 1666 1609 1684 1853 1808 1933
うち中高年 1135 1127 1223 1298 1309 1372 1507 1439 1567

 

これを登山人口当たりで割ってみると、事故率が出てきます。ついでに、中高年比率も出してみます。

  H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20
事故レシオ 0.013% 0.015% 0.015% 0.021% 0.020% 0.021% 0.026% 0.026% 0.028%
うち中高年 76% 77% 75% 78% 81% 81% 81% 80% 81%

 

データが出そろったところで、検証してみます。本当なら、レジャー白書を毎年分見て、登山人口の年齢分布出して検証するべきなんですが、そこはざっくりやってみます(だって、レジャー白書はオンラインで見れないし、買うと高いので。。。)

 

確かに、事故レシオ、H12年の0.013%からH20年の0.028%まで倍増以上。山岳事故は登山人口当たりでも増えているようです。10万人の登山者あたり、13件の事故から28件の事故に増加。

 

では、増加の内訳は、というとH12年からH17年までの事故の増加(0.013%→0.021%)は確かに中高年がメインでした。H12年からH17年の遭難者数の190件増に対し、その間の中高年の遭難者数の増加は237件増。全体の件数増加よりも中高年が目立って事故を起こしていました。

 

状況はH18年に登山者数が底をうってからちょっと変化します。H18年からH20年にかけて、遭難者数の増加は80件に対し、中高年は60件。そもそも中高年の事故割合が8割であることを考慮に入れると、中高年の事故比率が若干下がった(若年層の比率が上がった)と言えます。中高年だけではなく、若い登山者も気を付けなければいけません。

警察庁の「中高年」の定義が40才以上なので、ちょっと鮮明には見えてこないのですが、これをきちんと年齢別に出すと、より事故を起こしている人の年齢が下がってきているのが見えるのではないかと思います。

 

仮説ですが、初心者の事故がやはり多く、H17年ごろまでは中高年で登山を始める人が多かったのに対し、最近は若い人で登山を始める人が多いため、こういう結果となったのではないでしょうか。

 

そして、もう一点俯瞰的に注目すべき点は、事故件数がH12年以来減った年がないこと。登山者数が増減しても、事故だけは順調に伸びています。

 

最後に。遭難の原因の一番多いもの、わかりますか?滑落や転倒での事故かと思いきや、「道迷い(40%)」だそうです。GPSもっていったり地図をちゃんと見て持っていったりすれば、これだけ標識の多い日本の山では迷いようがないと思うんですが。ちょっとした心がけ一つなので、気を付けて、事故を減らしましょう。

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プロフィール

山田 淳

チョモランマの頂上でThinkPad

Author:山田 淳(やまだ・あつし)
株式会社フィールド&マウンテン代表取締役
「登山人口の増加」「安全登山の推進」がミッション。 登山道具の宅配レンタル 「やまどうぐレンタル屋」 新品・中古品販売 やまっ子

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